都市計画論文集
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ドイツ「東の都市改造」プログラムの撤去事業の成果に関する考察
コットブス市のザクセンドルフ・マドローを事例として
服部 圭郎
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2022 年 57 巻 3 号 p. 871-878

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抄録

旧東ドイツの諸都市は、ドイツ再統一後以降、急激な人口減少に直面し、それに都市計画的に対応するため、需要に対して供給過剰となった住宅を撤去する政策を遂行した。本論文は、ブランデンブルク州の中核都市コットブス市のザクセンドルフ・マドロー団地に注目し、そのような撤去計画はどのような考えのもと、どのように策定されたのか。また、撤去事業はどの程度、計画と整合性を有していたのか。計画との乖離があった場合、その背景要因を明らかにすることを目的とするものである。そのために、撤去事業の遂行状態を同団地の撤去された建物(棟)目録から明らかにし、建物の属性(撤去年、地区、住宅会社、建設年、改修の有無等)との関連性、同市の都市計画担当者への取材などからその背景要因を調査した。 本調査からは、人口縮小、それに伴う空き家の増大といった課題を都市計画的に対応するためには、トップダウンではなく、住宅会社といったステーキホルダーの意見を踏まえてそのプログラムを検討することが必要であることや、現実に合わせて計画を変更する柔軟性の重要さが確認できた。

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