都市計画論文集
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地方分権改革を踏まえた都市計画の広域的調整の枠組みと活用状況
都道府県の関与と調整の性質に着目した関東地方での分析
山田 智貴瀬田 史彦城所 哲夫
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2023 年 58 巻 3 号 p. 1516-1523

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抄録

本研究では、地方分権改革により都市計画の決定主体が変化した状況下における、その広域的調整のあり方、法規定、活用実態の相違を明らかにすることを目的とした。広域的調整のあり方は、地方分権改革を経て、都道府県が大きく関与する垂直的調整に代わり、市区町村による個別水平的調整が志向されているが、都市計画法で規定されているのは垂直的調整に限られたままである。しかし、自治体アンケート調査の結果からは、市区町村決定の都市計画の場合、隣接部での整合が必要とされる都市計画項目やNIMBY施設では水平的調整も行われていることが明らかとなり、実際には想定されるあり方に近くなっている。また、都道府県決定の都市計画の場合についても、都道府県がほとんど関与しない水平的調整が行われているケースが見られた。一方、開発方針や大規模集客施設等の立地に関する都市計画では、実態としても垂直的調整に限定されたままで、あり方との乖離が見られ、都市計画の特性が広域的調整の実態に影響していることが示唆された。

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© (c) 日本都市計画学会
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