日本土木史研究発表会論文集
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古代地域計画の原理その3幾何図形論
金印の島のピラミッド図形
木村 俊晃
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1984 年 4 巻 p. 135-142

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抄録

その1「対称論」では、柳本・古市・百舌鳥などの大和朝廷の古墳群の配置計画が大阪湾沿岸30余km四方の山地地形を正確に把握し、近代的ともいえる高度の測地技術にもとずいて実施されていることを示すとともに、大和計画中心線からは29.58cm尺、仁徳計画中心線からは31.37cm尺をいずれも1/1, 000の高精度で検出した。
その2「尺度論」では、日本・中国・朝鮮における尺度の時代的変遷を明らかにし、それをエジプト・ギリシャ・ローマの尺度系と比較して、古代世界尺度マトリックスを提案し、古代世界の尺度には古いエジプト系と新らしいギリシャ・ローマ系の2大系列があることを示し、実長のみかけ上の近似に反して、上記の31.37cm尺 (ラインフィート) はエジプト系、29.58cm尺 (ローマンフィート・唐尺) はギリシャ・ローマ系と別の系統のかけはなれた位置にあることを明らかにするとともに、大和・仁徳計画では、その初期に用いられた新らしいギリシャ・ローマ系尺度が吉墳建設事業の途中から古いエジプト系尺度に変更されたことになることを確認した。
今回は、日本およびエジプトの古代施設配置計画のモチーフとなっている幾何図形の2
・3の実例を示し、それらがシルクロード以前におけるエジプト数学および測地学の直接的伝播を示す証拠と解されることを述べ、その世界史的意義について考繋する。

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