日本土木史研究発表会論文集
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信越線横川駅跨線橋の保存対策と碓氷線に残る歴史的土木構二造物群
その現状と土木史的価値検討の試み
伊東 孝土屋 幸正
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キーワード: 明治期, 鉄道, 跨線橋
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1985 年 5 巻 p. 215-221

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抄録

信越線横川駅の跨線橋が, 今年 (昭和60年) の3月, 改築された。旧跨線橋は, 橋脚に「鐵作新橋明四十」「鐵道新橋明四十」の銘が鋳出された古いものであった。
本稿は, 旧跨線橋の土木史的な価値を検討すると共に, その保存施策の報告である。
旧跨線橋は, 1909 (明治42) 年の「跨線橋定規」(以下「定規」) が出される前の貴重なものであり, 「定規」にある4タイプのうち, 一番小さな跨線橋 (タイプIV) に近いものである。1964 (昭和39) 年の補修の時, 旧跨線橋は短かく切り取られた。その結果, 長さの面で, よりタイプIVに近づいた。
橋脚は, 日本製の鋳鉄柱であるが, 跨線橋の主桁や小屋組の鉄材は, 英国からの輸入材であることも判明した。跨線橋は, 和洋混用で作られたのである。
関係者の努力により, 全国で初めて, 橋脚4本の現地保存がなされた。しかし今回, 保存施策として重要なことは, このような記念碑的な一部の展示保存を越えて, 記録保存・部材の強度試験など, 古い土木構造物を取り壊す時の一つのルールを提供したことにある。
最後に, 煉瓦積みのアーチ橋やトンネルなど, “群” として残る旧碓氷線 (以下「碓氷線」) の貴重な (しかし荒れるにまかせられている) 歴史的土木構造物群を簡単に紹介する。

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