抄録
明治期は, 冨国強兵, 殖産興業政策のもとインフラストラクチャーの整備がなされてきた。しかし, 鉄道や河川事業に比べて道路整備事業は遅々として進まなかった。自動車の出現が期末であったこともあり, 自動車交通を対象とした近代的な道路整備はこの時代には出現しなかったといえる。
明治期の他の事業や経済情勢に勘案して, 若干とりのこされた感のある道路整備ではあるが, 一方では, アメニティの追及が生活道路を中心としてみられる。
これらのことから, 明治期における道路は江戸時代からの道に対する思想の終えんとして, そして現在に至る近代的道路整備への転換期として, 試行錯誤を繰り返ているものといえよう。