土木史研究
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北海道本府・札幌の位置選定と石狩川舟運
松浦 茂樹
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1994 年 14 巻 p. 295-307

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抄録

北海道の中心地として札幌が選定されたのは、大河石狩川の舟運により内陸部そして日本海・太平洋と四方への便からであった。さらに対外関係、特にロシアの南進に備えて日本海沿いに設置されたと考えられる。この選定は、幕末、北海道調査を行った松浦武四郎の意見に拠った。松浦は京都と比較しながら、その妥当性を評価した。
舟運からみて石狩川は、わが国河川の中でも有数の好条件をもつが、石狩川舟運は、当初、重視されていた。幌内炭坑からの輸送は、幌向太まで鉄道で行い、そこからは石狩川舟運によるというのが、最初の計画であり、そのためにオランダからファン・ヘントが招聘された。しかしアメリカ人技師クロフォルドにより札幌を通って小樽までの鉄道が推奨され、実施に移された。ファン・ヘントは河口で港湾計画を策定し、石炭輸送とは別途にこの計画は推進された。だが彼の死とともに計画は放棄された。
また北海道は、主にアメリカ人技術者達の協力によって当初進められた。彼らの開発方針について、アメリカの国際戦略を考えてみる必要がある。

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