土木史研究
Online ISSN : 1884-8141
Print ISSN : 0916-7293
ISSN-L : 0916-7293
社会資本に伺う公共性の概念と変遷
吉原 不二枝
著者情報
ジャーナル フリー

1998 年 18 巻 p. 327-338

詳細
抄録
土本を理解する為の最短題離として「構造物の調査」に参加した。大股で歩いた「日本の社会資本」から, 近辺を正視する目的の「比較・ヨーロッパ擬察」まで, 多くの専門資料と立場や年齢の異なる土木従事者達の角度を変えた考えや見方は, 域の広い知識や技能を習得でき, 結果的に短期間でそれなりの成果が得られたと考えている。
そして, 調査・研究を始めて3年近くで見えてきたものを温め, 独自の「テーマ」に設定して研究を進めた。個々の社会資本が「公共性の概念」を担うか否かを改あて問直すことである。
同時に, 社会に向けた意識調査の結果から, 土木に対する理解不足を強く感じた。対象に対し, 関心とある程度の知識を持って自分の考えを述べるなら意味もあるが, 残念なことに理解不足による言動が先行している向きがある。土木が公共性を持つ体質なら, 困難でもより多くの人達に土木を理解してもらう努力を怠たるわけにはいかない。調査・見聞の結果を侮らかの形で社会へ還元し, 理解を求める手段になるよう努めたい。その「時期」, 「方法」, 「対象」などを明確にし, 段々と土木への理解を粒会に求める努力が自らを高めることにも繋がる。
著者関連情報
© 社団法人 土木学会
前の記事 次の記事
feedback
Top