1996 年 13 巻 p. 233-240
運河における水運が衰退の一途を辿っている。そのため運河は本来持つべき意味あいを失い、安価な用地取得策として埋立て・暗渠化がなされたものもみられる。このような現状を踏まえ、本研究では運河は水運が衰退しても都市環境を向上させる基盤としてなお価値があるものとして、貨幣価値という尺度の下に定量化を図った。
この結果、運河周辺に適切な整備がなされていない、つまり「放置」されているために本来持ちうる環境価値が潜在化してしまっているものもみられるが、適切な投資さえなされるなら運河の持つ環境は高い価値を持つことが明らかになり、運河の環境的効用を踏まえた周辺整備・土地利用計画の構築の必要性を示唆するに至った。