1997 年 14 巻 p. 353-360
阪神淡路大震災は、 都市型の災害として予想を上回る規模で発生したために、 すべての活動に大きな混乱をもたらした。特に交通施設の破壊と渋滞による救援活動の遅れは、 都市における災害時の交通運用について大きな問題を投げかけたといえる。そこで本研究においては、 特に緊急物資の供給に着目して震災時の物資輸送交通シミュレーションシステムを構築し、 そこで様々な震災被害における状況をシミュレートするとともに、 交通規制や物資輸送配分に関する方策をシナリオとして提示し、 それらについてシミュレーションの結果として算出される区域的な物資の供給達成率を比較することにより、 震災時における交通対策の評価と検討を行った。