1999 年 16 巻 p. 217-224
高等教育や研究開発 (R&D) は人的資本の形成過程であり、地域開発の視点からも一層重要性をおびている。また、高等教育機関への進学は若年層の地域間移動の最大の要因といわれ、都市間の人口分布構造を大きく左右する。現在の東京一極集中も、このことが要因の一つであると言われている。社会資本投資としての教育制度の分析は教育経済学の分野で発展し、研究がなされているが、既往の研究において空間的なモデルへの拡張は殆ど行われていない。そこで、本研究では人的資本を考慮した2都市2世代の都市群モデルを構築し、教育投資によりどのような人口分布が実現するのか、また、人口集中是正のための教育投資のあり方について検討を行った。