土木計画学研究・論文集
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地域特性と地域相互作用を考慮した地域政策の経済分析
武藤 慎一上田 孝行稲垣 貴政
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1999 年 16 巻 p. 279-287

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抄録

近年, 環境問題への関心が高まるにつれ, 自然との接点を潜在的に多く持つ農村部の価値が高まってきており, その農村部の活性化を考えた地域政策に対する議論が盛んになっている. そのような政策を評価するためには, 都市部と農村部を明確に区別し, それらの相互作用を視野に入れた議論が必要となるであろう. その中でも, 農村地域の有する多面的機能が外部効果として様々な影響を与えている点が重要となってくる.そこで, 本研究では農村一都市という地域特性を考慮した社会経済モデルを構築し, 現在考えられている地域政策の有効性の議論を行なった. さらに, 都市と農村間での便益帰着における公平性の問題に対しても, 便益帰着構成表を適用した評価を試みた. また, 数値シミュレーションにより, 農村と都市間の交通改善政策の便益計測による有効性の検討とともに, 交通改善政策が地域格差是正にはあまり効果がないといった指摘に対し, 外部効果の存在が理由の一つであることを明らかにした.

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