抄録
本研究では, 新しい交通環境における認知旅行時間の適応プロセスに関する情報影響仮説 (情報取得によって予測能力が向上し状態依存が低下する), 経験優越仮説 (媒体情報の認知旅行時間への影響は, 実走行経験によって低減する) を提案し, これらを, 阪神高速道路堺線の通行止め期間中の通勤運転者の認知データに基づいて検定した.その結果, データはこの両仮説の成立を支持するものであった.この結果に基づいて, 情報提供方策を検討するためには, 運転者の経験の有無, あるいは, 経験を持つという自認の有無を考慮したマーケティング戦略が重要であることを述べた.