2001 年 18 巻 p. 779-786
近年, フレックスタイムなどのTDM施策が実施され, 行政サイドでも制度の導入促進を提唱している. しかし, 実際にどの程度まで導入割合が増えれば社会的に十分なのかどうかはこれまで明らかにされていない. 本研究では, 大都市の鉄道通勤を対象に通勤者や企業といったそれぞれの主体の効用を定式化し, フレックスタイム下の社会的に最適な出社・始業・終業・退社時刻分布を解析的に求めた. さらに, 数値例を通して, 最適パターンを実現するための時刻別運賃の設定値と, 何割の従業者がフレックスタイムを行えば社会的に最適な状況を作り出すことが可能であるかを示した. また, 実際に享受する効用の大きさも明らかにした.