抄録
本研究では, 調査の回答率を向上させる方法を探るため, これまであまり注目されることのなかった, 人々の回答への “内発的動機” に着目し, 内発的動機づけ理論, ならびに, 社会的交換理論といった社会心理学理論に基づいて, 人々の調査協力行動への動機が駆動される要因に関して実証分析を行った. 調査 (N=1, 500) の結果, 丁重な調査依頼を行うことによって, 人々の内発的動機を社会的交換の過程を通じて活性化させることが出来, その結果人々の調査への協力行動を誘発することが出来る事, また, 不十分な外的報酬を供与することによって, 人々の内発的動機をかえって減少させてしまうことが明らかとなった.