2002 年 19 巻 p. 265-274
災害に対する事前の備えが不完全であった場合, 被災した家計や企業, 政府は復旧資金を事後的に調達する. 家計の時間軸上の視野が有限な場合, 政府の財政調達方法は家計の消費行動や経済の長期的な動学過程に影響を及ぼす. また, 閉鎖経済モデルにおける一国が被災した場合, 社会は瞬時に復旧のための資本を調達することができない. 一方, 開放経済モデルにおける小国が被災した場合, 資本市場の利子率は影響を受けず, 海外資本が流入して被災国の生産水準は瞬時に回復する. 本研究では世代重複モデルを用いて, 災害被害を全ての世代に均等に負担させるタイプの災害復興財政が, 閉鎖経済と開放経済の被災後の動学過程に与える影響について分析する.