抄録
本研究は, 東海道線戸塚駅, 小田急小田原線新百合ヶ丘駅を利用する都市鉄道通勤者の出発時刻選択モデルを構築し, 出発時刻の選択肢区分の設定を変更した場合のモデルの再現精度, パラメータ感度の変化, 誤差相関に関する実証分析を試みた. この結果, 選択肢区分の細かさとモデルの精度は必ずしも相反しないことが明らかとなった. モデル精度や表現力からみれば15分ピッチのモデルが推奨される. ただし, 選択肢間の誤差相関が生じるといった問題がある. 30分ピッチのモデルであれば, 15分ピッチに比較してパラメータ感度が大きく劣化しないこと, モデルの精度の劣化も小さいこと, IIAの問題に神経質にならなくて良いことなど実用上のメリットは大きいと考える.