2003 年 20 巻 p. 721-726
財政が逼迫している自治体にとって, バス事業への多額の補助は大きな負担となっている.その対策の一つとして, 各自治体のバス路線を複数の自治体をまたぐ広域バス路線として再編し, その路線に関係自治体が共同で補助する取り組みがある.広域バス路線を開設・維持するためには, そこに関与する全ての自治体が補助金の負担に合意することが不可欠であり, 公平な負担が求められる.本研究では, これまでに広域バス路線を開設した事例を調査し, 補助金の負担に関して暗黙に想定されていた公平性の規範を協力ゲム理論を用いて推定した.その結果, 現場で想定されていた有力な規範として仁, 相対仁, 平均差仁が有力であることが明らかになつた.