2004 年 21 巻 p. 375-384
わが国には地震や洪水と並んで渇水という災害が存在するが, 近年, 施設整備によるリスク軽減策は実行し難くなっている. 一方, 渇水リスクは地理的条件や歴史的背景によって地域間, 主体間に格差があり, 調整の余地が残されている. そこで本研究では, 施設整備に依らない方策として節水と地域間の水融通に着目し, 効率性のみならず公平性も考慮した渇水リスク分散方法について検討した. 数値シミュレーションでは, 効率性の指標として社会的便益を, 公平性の指標として地域間所得格差を用いて様々なケースを比較検討することにより, ある水融通の価格において良好な渇水リスク分散となり得ることを示す.