2004 年 21 巻 p. 457-462
都市居住者の交通行動は, 居住している都市圏の枠で捉えきれない部分の割合が高まっていると考えられるが, その実態はよくわかっておらず, そのことを分析できるデータも存在しない. 本研究では全国PTデータの回答の一部をうまく活用することにより, 全国54の都市居住者が昭和62年から平成11年に至るまで, その行動を広域的な視点からどのように変化させてきたかを定量的に明らかにした. 分析の結果, 東京など他都市圏への特徴的な依存関係や, 特に地方都市における急速な行動の広域化を具体的に示すことができた. また, 都市によっては特定の都市への依存度を高めているものなどもあり, 政策検討のためには個別の都市ごとの検討が必要であることが示された.