2004 年 21 巻 p. 523-530
本研究では, 居往地の公共交通利便性, 自動車保有台数, 自動車旅行距離を内生変数とする構造方程式モデルを中京都市圏の4時点, 過去30年間のパーソントリッフ調査データを用いて世帯単位で構築し, それらの内生変数間の関係の変化を長期的に分析した. その結果, 居往地の公共交通が便利な地域では自動車保有台数が少なく, 自動車保有台数が多いと自動車旅行距離も長いという関係が30年を通して成り立つことが示された. また, それらの関係は, 1) 1980年代以降安定傾向にあるが依然変化していること, 2) 1990年代以降は世帯類型ごとにより安定しており世帯類型の構成比が変化しつつある時代には世帯類型ごとに交通行動を分析することの意義を示した.