2005 年 22 巻 p. 617-623
本研究は, 世界の主要な空港オペレータを対象に, 空港の運営・財務状況を比較分析し, 日本の空港運営システムの特徴を考察した. 欧州をはじめ世界では大規模な空港オペレータが複数空港を運営しているが, 我が国の空港オペレータは単一空港運営にもかかわらず資産規模が世界最高水準であることが示された. 関西国際空港株式会社については, 自己資本比率が小さいため金利費用負担が大きく, 世界でも稀少な経常損失を記録する空港オペレータの事例となっていることや, 他の空港オペレータに比べて, 保有資産の構成が収益姓の低い下部構造に集申し, 資産回転率が低い状態であることが明らかとなった.