抄録
本研究では, 兵庫県川西市・猪名川町で2003年度に行われたTFPの一年後の追加調査を実施することにより, TFPの長期的効果を検証し, さらには, 実験実施時に検討した各セグメントに対するコミュニケーション効果についても検証することを目指した.データ分析の結果, 一年後においても, TFPによって平均で自動車トリップ数が約10%削減, 公共交通トリップ数が約9%増加していることが示された. また, 行動変容の意図を持ち, 現在公共交通を利用する6割程度の人々に対しては, 簡便なTFPでも十分な効果が長期的に残存する事, 行動変容の意図を持つが公共交通を現在利用していない人々に対しても, 事後的なフィードバックを伴うTFPを実施することで行動変容効果が継続し得ること, さらには, 行動変容の意図を持たない人々に対しても, 簡易なTFPによって心理的には向上する可能性が明らかにされた.