抄録
本研究では、受給条件として障害種類や障害等級を用い、施策のサービスレベルに制限を設けている中で、移動制約者に対して身体能力に適した移動支援施策が提供できているか検証した。まず、身体障害者を身体能力に応じたグループに分類し、移動支援施策が身体状況と適しているかどうかを検証した。次に、身体能力ごとに、どの程度外出しているのか、また、施策を選択する際にどの項目を重視しているかを把握した。その結果、おおむね身体の移動制約状況に応じた選択をしているが、中には身体能力と一致しない施策を選択している人も存在していた。より効果的に移動支援施策を実施するためには、移動制約の度合いを表すことができる受給条件に改善した上で、各施策のサービスレベルを向上させることが必要ではないかと考えられる。