2009 年 26 巻 p. 377-382
近年,我が国の風景や景観の破壊が深刻化していることが指摘されている.本研究では,このような景観問題を考える上で,政治哲学者オルテガの論ずる「大衆性」に着目し,「大衆性の高い個人は,良質な風景を軽視し,破壊する」という仮説を措定した.そして,大学生を対象とした先行研究で得られた知見を踏まえて,本仮説の一般的な確からしさについて検証することを目的として,全国の一般成人を対象としたアンケート調査を実施した.その結果,本研究の仮説が改めて支持され,個人の大衆性が景観問題に及ぼす否定的影響が一般成人を対象としたサンプルにおいても確認された.