2021 年 11 巻 1 号 p. 23-30
本研究の目的は、コミュニティ・エンパワメントと多世代参加コミュニティ・エンパワメントを行い、 自殺対策における介入効果を検証することである。 前後に実施した調査(T1,T2) における心理的苦痛 (K6)、 認知的ソーシャル・キャピタル得点、 一般性セルフ・エフィカシ 一尺度得点について、 3 群間 (①コミュニティ・エンパワメント介入群: CE群、 ②多世代参加 コミュニティ・エンパワメント介入群: MGCE 群、 ③対照群)で統計学的検定を実施した。 その結果、全てにおいて統計学的有意差は認められなかったものの、認知的ソーシャル・キャピタルは対照群で低下の傾向が見られ、 心理的苦痛 (K6) についてはCE群に比べMGCE群で改善がみられた。 積極的な社会参加を促す地域づくり型プログラムの実施は地域の自殺対策に おいて有効な可能性があり、 世代間交流を取り入れた多世代参加コミュニティ・エンパワメントはさらに有効な可能性が示唆された。