抄録
本研究の目的は、加齢に伴う身体・認知機能の衰えや健康課題を持ちつつボランティア活動を行う高齢者ボランティアが活動を継続できる、または引退する要因を探索的に検討し、ボランティア活動を継続するための支援のあり方を提言することである。そのために健康課題を持ちつつ地域の子どもへの絵本読み聞かせ活動を行う高齢者ボランティア10名とそれらの高齢者ボランティアの受け入れ小学校・幼稚園・保育園の教職員13名を対象にインタビュー調査を実施した。その結果、受け入れ施設は、子どもたちが高齢者ボランティアと継続的に交流することにより、“老い”の過程と多様な状態の高齢者への関わり方を学ぶことを期待していた。一方、 健康課題を持つ高齢者ボランティアの活動継続は、高齢者ボランティア自身のボランティア観、“老い”の受容度合い、およびボランティア仲間からの支援に影響を受けていた。