高齢者イメージ研究ではポジティブ・ネガティブといった側面だけでなく、 イメージの属性である思い浮かびやすさ(心像性) や、 個人が持つ経験を加味した検討を行う必要がある。本研究では、大学生を対象に高齢者イメージに関する反応時間測定実験と祖父母との接触経験に関する調査を行い、 高齢者イメージの心像性と接触経験との関連を検討した。 各対象者の祖父母との被支援的接触経験について、 高群 (14名) と低群(16名)に群分けした。イメージを判断するまでの時間について、イメージごとにt検定で比較したところ、「役に立つ」、「役に立たない」、「好き」、「嫌い」などのイメージにおいて有意差がみられた。いずれの場合も低群の反応時間が遅く、 被支援的接触経験が少ない大学生は特定のイメージの心像性が低いことが示唆された。祖父母からの被支援的な接触が希薄な大学生においては、高齢者が「役に立つ」存在であるか否かを判断できるような経験を持っておらず、併せて「好き・嫌い」のイメージも浮かび難いと考えられる。