日本世代間交流学会誌
Online ISSN : 2758-5905
Print ISSN : 2185-7946
リスクの高い青少年支援における世代間メンタリングの機能
更生保護ボランティアの支援力に着目して
間野 百子
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2014 年 4 巻 1 号 p. 85-94

詳細
抄録

世代間メンタリングとは、一般市民が心理・社会的困難を抱えている青少年に個別・ 続的に関わりながら、青少年の発達を支援する活動を意味する。メンタリングは20世紀初頭からアメリカを発祥の地として組織的・体系的に展開され、現在ではリスクの高い青少年の発達支援対策として教育現場にも導入されている。メンタリングの理念は、日本にも戦後初期に取り入れられ、困難を抱える青少年の支援方法として更生保護の領域で制度化された。こうして新制度のもとでは、保護司を中心と する民間ボランティアが、非行少年の地域社会内における立ち直りを支えてきた。しかし、その一方で、非行少年の社会内処遇に対する一般市民の理解や認識は極めて低い。そこで本稿では、更生支援に民間ボランティアが関わることの意味を世代間メンタリングの機能に着目して明らかにした。結論として、メンタリングには、困難を抱える青少年 の自尊感情を向上させたり、学業に関心を向けさせるなどの効果があることを明らかにした。 最後に課題として、地域社会内で民間人が非行少年に向き合うことの社会的意味を実証していくことをあげた。

著者関連情報
© 2014 日本世代間交流学会
前の記事 次の記事
feedback
Top