日本世代間交流学会誌
Online ISSN : 2758-5905
Print ISSN : 2185-7946
あいさつ運動に関する文献レビュー
効果に関する理論的考察と先進事例からみる活動上の工夫と課題
村山 幸子松永 博子倉岡 正高野中 久美子藤原 佳典
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ジャーナル オープンアクセス

2016 年 6 巻 1 号 p. 75-82

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抄録
あいさつ運動は、子どもの安全確保やコミュニティの醸成・強化、ならびに地域全体の犯罪抑止を目指した活動であり、地域における世代間の交流を促す一つの契機となり得るものである。本稿では文献レビューから、その効果を理論的に考察すると共に、実際の活動上の工夫や課題を整理した。その結果、 子どもたちにとってはあいさつ習慣の定着と社会化の促進、中高年世代にとってはジェネラティビティの醸成という点において、あいさつ運動が各世代の発達に有益な効果をもたらす可能性があることが示された。さらに、あいさつ運動を効果的に進めるための工夫として、1)単発的なイベントではなく、長期的な展開計画に基づく活動を実施すること、2)市民と行政機関、あるいは学校と地域住民が協働し、 幅広い年齢層を活動に引き入 れること、3)グッズの活用やイベント開催による活動の「見える化」 の3点が抽出された。今後は、体系的な調査研究や優良事例への聞き取り等を通じて、あいさつ運動の効果や活動実施上の工夫・課題について、より詳細かつ実証的な検討が必要になると考えられる。
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© 2016 日本世代間交流学会
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