抄録
近年、人獣医療ともに異常行動を含めた精神疾患が増加し、診断・治療法の確立が重要である。一方で、健全な精神発達に栄養が重要である事から、トリプトファン (Trp) 代謝系の高次脳機能に対する役割が注目されている。本研究では、Trp代謝の中心酵素Tryptophan 2,3-dioxygenase (TDO) の翻訳領域に注目し、行動パターンの異なる2系統のマウスの一塩基多型 (SNPs) を解析した。その結果、C57BL/6JとBALB/cマウス間に3種類のSNPsを同定し、その一つであるG87T変異はミスセンス変異であった。しかし、両マウス間で血漿Trp値、肝臓のTDO発現量や酵素活性に差がない事から、この変異による生理的な肝臓TDO機能の修飾は少ない事が示唆された。今後、tdo遺伝子非翻訳領域の修飾や環境因子によるTDO機能の修飾を解析する事が、精神発達の分子機序の解明に繋がる事が期待された。