ペットの栄養管理において、季節の光条件が代謝や情動に及ぼす影響を考慮することは重要である。本研究では、光条件の変化がマウスにおける糖耐性やスクロース嗜好性、また脳内セロトニン神経系に及ぼす影響の解明を目的とした。まず、長日条件もしくは短日条件で飼育したマウスに腹腔内グルコース負荷試験を行ったところ、血漿グルコース、インスリン濃度ともに、短日条件で飼育したマウスのほうが長日条件に比べ高い反応性を示した。次に、長日条件もしくは短日条件で飼育したマウスにスクロースもしくはサッカリン嗜好性試験を行った結果、短日条件で飼育したマウスでは長日条件に比べ高いスクロース溶液の飲水量が見られたが、サッカリン嗜好性に影響は見られなかった。また短日条件のマウスではグルコース投与により一過的な脳内セロトニン含量の増加傾向が見られたことから、スクロース嗜好性と脳内セロトニン含量の関連が示唆された。以上より、日長と糖恒常性、炭水化物摂取、および脳セロトニン神経系の連動が解明され、季節による代謝や情動の変化を栄養学的に制御できる可能性が示された。