抄録
δアミノレブリン酸(以下ALA)は、近年のラットでの研究で脂質代謝に影響を及ぼし、エネルギー代謝を亢進する可能性があることが報告されており、肥満のイヌでも同様の影響が認められるかを検討した。8頭のビーグル(雄2頭、雌6頭)を高脂肪フードで肥満状態にし、高脂肪フードにALAを72mg/kg添加した群をALA給与群、添加しない群を対照群として4頭ずつに分け、36日間のALA給与試験を行った。試験中、約2週間毎に体重、体脂肪率、体尺を測定した。また、糞を採取し、水分含量、粗脂肪含量、pH、脂肪酸組成を測定した。体重及び体脂肪率増加量は共に、ALA給与群で、ALA給与開始から26日目、36日目に有意に低い値を示した(p<0.05)。36日目に採取した糞中の飽和脂肪酸濃度は、C16:0はALA給与群が高く(p<0.05)、C18:0ではALA給与群で高い傾向が見られた(0.05≦p<0.10)。これにより、ALA給与で脂肪の消化率が低下した可能性が示唆された。以上の結果、ALAの給与でエネルギー代謝の亢進と、脂肪の消化率低下の可能性が示唆され、体重と体脂肪率の増加が抑えられたものと考えられた。