ペット栄養学会誌
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18 巻, 1 号
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原著論文
  • 鳥巣 至道, 鷲巣 誠, 板橋 由起子, 鳥巣 ゆかり
    2015 年 18 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2015/04/10
    公開日: 2016/04/11
    ジャーナル フリー
    ベジタブルサポートドクタープラス(㈱ダブリュ・アイ・システム)は肝機能が低下した動物の食事管理において重要な、分岐鎖アミノ酸、ビタミン、抗酸化物質、食物繊維などが含まれた動物用サプリメントである。我々はサプリメント製造のため、減圧式遠赤外線乾燥法に紫外線照射を追加した新規方法を開発し、アミノ酸およびビタミン成分への影響、並びに肝疾患罹患犬における嗜好性、副作用の発生率および血液化学的プロファイルへの影響を従来の温風乾燥法と比較した。成分分析では、この新規方法によりビタミンD濃度が約70倍増加したことが示されたが、その他のビタミン濃度は変化しなかった。さらに、アミノ酸濃度は、アミノ酸の種類に応じて10-20%増加するか、または変わらなかった。しかし、サプリメントを肝疾患罹患犬に4週間給与した結果、従来の製造方法による製品と比較して、臨床的に有意な変化は認められなかった。
  • 寺地 智弘, 岩田 法親, 菱山 信也, 舟場 正幸, 松井 徹
    2015 年 18 巻 1 号 p. 7-11
    発行日: 2015/04/10
    公開日: 2016/04/11
    ジャーナル フリー
    ネコにおける被毛中水銀濃度と各種疾病の関係の予備的検討として、動物病院に来院した健常ネコ(n=33)と疾病ネコ(n=67)の被毛中水銀濃度を測定した。次いで、健常ネコの被毛中水銀濃度から暫定参照値上限を算出し、各種疾病のネコにおける被毛中水銀濃度との比較を行った。健常ネコの被毛中水銀濃度は0.2~6.4 mg/kgの範囲であった。得られた暫定参照値上限は9.2 mg/kgであり、健常ネコで暫定参照値上限を上回る個体は無かった。疾病ネコの被毛中水銀濃度は0.1~17.5 mg/kgの範囲であり、2頭の被毛中水銀濃度が暫定参照値上限を上回っていた。本試験では、ヒトやネコでの水銀中毒症として報告されている精神神経系疾患のネコが3頭、また、ヒトでの水銀中毒症として報告されている循環器系疾患のネコが3頭認められたが、いずれも暫定参照値上限を下回っていた。一方、口内炎と診断されたネコ4頭の内、2頭が暫定参照値上限を大きく上回っており、ネコにおける口内炎の一部が水銀過剰摂取と関連する可能性は否定できなかった。
  • 秋山 蘭, 生野 佐織, 丸山 夏輝, 上田 香織, 佐伯 香織, 小田 民美, 森 昭博, 左向 敏紀
    2015 年 18 巻 1 号 p. 12-17
    発行日: 2015/04/10
    公開日: 2016/04/11
    ジャーナル フリー
    ヒト糖尿病患者において、血糖値に影響を与えやすいとされる炭水化物に着目した食事療法が多く用いられている。本研究では健常犬に対し、市販食で炭水化物源の異なる食事を与え、食後の糖代謝パラメーターの比較検討を行った。主要な炭水化物源が米・トウモロコシ・小麦である3種の市販食を用いた。その結果、食後の血糖変動は3種のフードの間に差は認められなかった。食後のインスリン分泌の結果から、小麦、トウモロコシ、米の順で消化・吸収速度が速くなる傾向がみられた。また、インクレチンであるGIPは炭水化物源の違いよりも食事中の脂質によって分泌刺激されることが分かった。また、もう一つのインクレチンであるGLP-1は炭水化物源の違いにより影響を受けることはなかった。これらのことから、健常犬において市販食での炭水化物源の違いは血糖値およびGLP-1分泌に影響を与えないが、フード中の炭水化物源がインスリン分泌に関与し、脂質含有量がGIP分泌量に関与していることが示唆された。
  • 小澤 由, 宮成 節子, 植竹 雅行, 水谷 尚, 木村 信煕
    2015 年 18 巻 1 号 p. 18-24
    発行日: 2015/04/10
    公開日: 2016/04/11
    ジャーナル フリー
    δアミノレブリン酸(以下ALA)は、近年のラットでの研究で脂質代謝に影響を及ぼし、エネルギー代謝を亢進する可能性があることが報告されており、肥満のイヌでも同様の影響が認められるかを検討した。8頭のビーグル(雄2頭、雌6頭)を高脂肪フードで肥満状態にし、高脂肪フードにALAを72mg/kg添加した群をALA給与群、添加しない群を対照群として4頭ずつに分け、36日間のALA給与試験を行った。試験中、約2週間毎に体重、体脂肪率、体尺を測定した。また、糞を採取し、水分含量、粗脂肪含量、pH、脂肪酸組成を測定した。体重及び体脂肪率増加量は共に、ALA給与群で、ALA給与開始から26日目、36日目に有意に低い値を示した(p<0.05)。36日目に採取した糞中の飽和脂肪酸濃度は、C16:0はALA給与群が高く(p<0.05)、C18:0ではALA給与群で高い傾向が見られた(0.05≦p<0.10)。これにより、ALA給与で脂肪の消化率が低下した可能性が示唆された。以上の結果、ALAの給与でエネルギー代謝の亢進と、脂肪の消化率低下の可能性が示唆され、体重と体脂肪率の増加が抑えられたものと考えられた。
総説
解説
診療室だより
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