ペット栄養学会誌
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原著論文
健常犬における炭水化物源の異なるフードの糖代謝への影響
秋山 蘭生野 佐織丸山 夏輝上田 香織佐伯 香織小田 民美森 昭博左向 敏紀
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キーワード: dog, carbohydrate, glucose, insulin, incretin
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2015 年 18 巻 1 号 p. 12-17

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抄録
ヒト糖尿病患者において、血糖値に影響を与えやすいとされる炭水化物に着目した食事療法が多く用いられている。本研究では健常犬に対し、市販食で炭水化物源の異なる食事を与え、食後の糖代謝パラメーターの比較検討を行った。主要な炭水化物源が米・トウモロコシ・小麦である3種の市販食を用いた。その結果、食後の血糖変動は3種のフードの間に差は認められなかった。食後のインスリン分泌の結果から、小麦、トウモロコシ、米の順で消化・吸収速度が速くなる傾向がみられた。また、インクレチンであるGIPは炭水化物源の違いよりも食事中の脂質によって分泌刺激されることが分かった。また、もう一つのインクレチンであるGLP-1は炭水化物源の違いにより影響を受けることはなかった。これらのことから、健常犬において市販食での炭水化物源の違いは血糖値およびGLP-1分泌に影響を与えないが、フード中の炭水化物源がインスリン分泌に関与し、脂質含有量がGIP分泌量に関与していることが示唆された。
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© 2015 日本ペット栄養学会
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