ペット栄養学会誌
Online ISSN : 2185-7601
Print ISSN : 1344-3763
ISSN-L : 1344-3763
原著諭文
フード中の食物繊維の種類・量が健常犬の糖代謝およびインクレチン分泌に与える影響について
秋山 蘭生野 佐織平松 朋子小田 民美森 昭博左向 敏紀
著者情報
キーワード: dog, dietary fiber, glucose, insulin, incretin
ジャーナル フリー

2018 年 21 巻 1 号 p. 1-6

詳細
抄録

ヒトの肥満者や糖尿病患者において、食物の消化吸収を遅延させ、食後高血糖を緩やかにする食物繊維を積極的に摂取する食事療法が行われている。本研究では健常犬に対し、ビートパルプ(可溶性+不溶性繊維)およびセルロース(不溶性繊維)を添加したフードにおける食後の血中糖代謝パラメーター(グルコース、インスリン、NEFA)およびインクレチン分泌(GIP、GLP-1)の比較を行った。コントロール食として、繊維含有量の少ないイヌ用ドライフード(fiber:0.9g/100kcal)を用いた。繊維添加量はフード量(g)の10%(fiber:3.5 g/100kcal)および20%(fiber:6.1g/100kcal)とし、コントロール食に添加した。結果として、コントロール食よりも20%添加食の方がインスリン、NEFAおよびGIP分泌が抑制され、GLP-1分泌が促進されたことから、20%添加食は消化吸収遅延、肥満防止および食欲抑制に繋がると考えられる。しかし、種類間では大きな差異がみられなかった。これは、ビートパルプの可溶性繊維:不溶性繊維の割合が2:8であり、可溶性繊維の特徴である食物移行遅延に乏しいためであることが示唆された。

著者関連情報
© 2018 日本ペット栄養学会
次の記事
feedback
Top