ペット栄養学会誌
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原著諭文
健常犬における胃内容排出時間のためのアセトアミノフェン測定の基礎的研究
生野 佐織戸髙 麻衣奥畑 遥景小野沢 栄里石井 聡子後藤 杏依宮島 芙美佳小田 民美森 昭博左向 敏紀
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2018 年 21 巻 1 号 p. 7-12

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抄録

ヒトにおいてアセトアミノフェン(APAP)の吸収速度は、胃内容排出速度を反映することが報告されている。しかし、胃内容排出時間を評価するためのAPAP法は、健常犬での報告は少ない。本研究では、ヒトに使用されている市販のAPAP検出キットがイヌにおいて血清APAP濃度を測定可能かを検討することを目的とした。まず、APAP投与後のイヌ血清を用いたAPAP検出キットの再現性および希釈直線性を評価した。同時再現性では、変動係数(CV)は10%以下と良好な結果を示した。しかし、日差再現性のCVは、19.4%であった。次に、本キットを用いてイヌにおいて検出可能なAPAP投与量を決定するため、6頭の健常犬にAPAPを食事のみ(0 mg/kg(体重))、食事と10 mg/kgおよび食事と20 mg/kgをそれぞれ投与した。0 mg/kgおよび10 mg/kgと比較し、20 mg/kgで血清APAP濃度の有意な増加が認められた。結論として、APAP検出キットはイヌの血清APAP濃度を測定することが可能であり、胃内容排出時間を評価するために応用することができると考えられた。さらに、イヌにおいてAPAP検出キットを使用した場合、鋭敏に検出可能なAPAPの用量は20 mg/kgであることが分かった。

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© 2018 日本ペット栄養学会
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