ペット栄養学会誌
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原著論文
国内の市販ネコ用フードにおけるタウリンおよびメチオニンの栄養評価
菅野 大清水 いと世舟場 正幸松井 徹友永 省三
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2021 年 24 巻 1 号 p. 14-21

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抄録

含硫化合物であるタウリンおよびメチオニンはネコにとって必須栄養素であり、タウリンの不足およびメチオニンの過剰または不足はネコの健康被害を引き起こす。しかしながら我々の知る限り、国内で市販のネコ用フードに含まれるタウリン含量や、一般食および総合栄養食ウェット製品に含まれるメチオニン含量を調査した報告はない。本試験では市販されている維持期のネコ用総合栄養食(ドライ製品とウェット製品、各10種)および一般食(ウェット製品、5種)に含まれるタウリンおよびメチオニンの過不足を、AAFCO養分基準(2018)に基づき評価した。ドライ製品とウェット製品にかかわらず総合栄養食ではタウリンとメチオニンは充足していたが、1種のウェット製品においてメチオニンが過剰であった。一方、一般食では1種でタウリン不足のフードが認められ、メチオニンは4種のフードが過剰であった。総合栄養食のドライ製品の一部を一般食に置きかえることを想定して解析した結果、タウリン不足やメチオニン過剰が生じる可能性は低いことが示唆された。メチオニン含量が高いフードは粗タンパク質含量も高かったことから、フード中アミノ酸の中でメチオニン含量のみが突出して多くはなかったと考えられる。したがってメチオニンのインバランスは生じず、メチオニン過剰の問題は生じない可能性がある。一方、他種の動物では要求量程度のメチオニンでさえ老化を促進する可能性が示唆されているので、ネコの長寿のためには要求される水準を大きく上回るメチオニンを含むフードを避けた方が無難であろう。

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