ペット栄養学会誌
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イヌの食物アレルギー用療法食における原材料表記のないアレルゲン混入の実態調査2021
辻本 綾子辻本 義和
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2021 年 24 巻 2 号 p. S21-S22

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抄録

食物アレルギーや犬アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患のある犬は年々増加し、対応する食物アレルギー用療法食も数多くある。しかし、ドッグフードにはヒトの食品のように、製造工程などで生じる微量アレルゲンの混入に関して、明確な基準や表示義務はない。 そこで、ヒトの食品においてアレルゲン混入の有無を調べるための検査である「アレルギー物質検査」を、イヌの療法食に置き換えて実施した。原材料に表記のなかった小麦・卵・乳について検査したところ、小麦・卵では基準を上回る微量アレルゲンの混入が確認された製品があった。今回、新たに「大豆」について調査した。また「小麦」は、以前の研究において混入があった製品となかった製品を対象に、製造ロットが異なるもので再検査をした。大豆は3製品中2製品で基準値を超えるアレルゲンの混入が認められた。小麦は2製品ともに基準値以下で、製造ロットによるアレルゲン混入量の違いが確認できた。現在、イヌにアレルギー反応を起こすアレルゲン量は不明であり、微量であっても原材料表記外のアレルゲン混入が除去食試験結果に影響を及ぼす可能性もある。故にドッグフードにもヒトの食品同様にアレルギー表示に関する基準の設定が望まれる。

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