2022 年 25 巻 2 号 p. 80-86
がんの一種である乳腺腫瘍(MGT)は、悪性腫瘍の場合では進行に伴い他の臓器への転移のリスクが高まり、完治が困難となってしまう。このため、早期発見および早期治療が極めて重要であると考えられる。本研究では、L型ならびにD型の遊離アミノ酸がMGTの早期発見のためのバイオマーカーになり得るか否かについて調査することを目的とした。血漿および尿サンプルは、あさ動物病院または室見動物病院に来院し、健康またはMGTと診断されたイヌから診断の為に採取されたサンプルを用いた。ランダムに得られたサンプルをL型およびD型アミノ酸分析に供した。血漿中L-アルギニンはMGTのイヌの方が健康なイヌよりも低かった。これは、L-アルギニンががん細胞に取り込まれたため、血漿中の遊離アミノ酸含有量が減少した可能性があることが示唆された。また、D-アラニンはMGTのイヌよりも健康なイヌの方が高かった。これらの結果より、血漿ならびに尿中遊離アミノ酸の変動を捉えることが診断の方法として役立つ可能性があることが示唆された。