ペット栄養学会誌
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症例報告
ドコサヘキサエン酸を投与した特発性てんかんのイヌの一例
松宮 佑樹米澤 智洋
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2022 年 25 巻 2 号 p. 87-92

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抄録

ω3脂肪酸の一種であるドコサヘキサエン酸(DHA)がヒトの難治性てんかんを部分的に改善することが報告されている。一方、イヌの特発性てんかんに対する効果は明確ではない。本研究では、特発性てんかんのイヌに既報より高用量のDHAを投与し、6か月の観察期間を終えた1例を紹介する。症例は3歳、体重2.0 kgのチワワで、4つの抗てんかん薬を併用されていたが、DHA投与開始前の1か月間の発作回数は4回、前駆症状のみが8回あった。インフォームド・コンセントの後、これまでの抗てんかん薬治療を変えずにDHA製剤を83 mg/kg、1日2回で投与した。投与後、発作回数が徐々に減少し、投与から5~6か月後の2か月間では発作も前駆症状も認められなかった。投与に関連する有害事象は認められなかった。以上より、特発性てんかんの発作頻度の改善に高用量のDHAの投与が有効である可能性が示された。今後、症例の蓄積によって、治療法としての有効性が明らかになるだろう。

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© 2022 日本ペット栄養学会
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