抄録
ドライキャットフードのC P 源は成ネコの栄養素利用性やストルバイト尿石形成能に影響するが,本実験では脂肪源がそれらに及ぼす影響を調べた。ドライキャットフードの脂肪源として牛脂と大豆油を用い,成雄ネコ10頭を2区に分けクロスオーバー法により試験を実施した。摂食量は牛脂区の方が有意(P<0.02)に多かったが,一般成分の見かけの消化率,窒素出納,尿量および尿pH,尿中ストルバイト結晶数,塩酸不溶性尿沈渣の尿中濃度,および血漿中リン脂質,総コレステロールおよび過酸化脂質濃度に関しては両区間に差が認められなかった。以上の結果,嗜好性の点では明らかに大豆油よりも牛脂の方が優れていたが,少なくとも本実験条件下では,牛脂ならびに大豆油が成ネコの栄養およびストルバイト尿石形成能に及ぼす影響には大差がないことが示唆された。