抄録
本稿は,英語・日本語に見られる遊びについて身体の運動と掛け声に着目し,その関連性の仕組みについて,音象徴研究の1方法として筆者が提案する「調音ダイナミズム」モデルによる分析から明らかにすることを目的とするものである。ここでは両唇音から中舌・奥舌母音への調音点移動の距離について検証を行った。その結果として,身体動作の「伸長」には掛け声を発する際の調音点距離の「長さ」が,また「収縮」には調音点距離の「短さ」が関連していることがわかった。そのことから,遊びにおける身体動作と,それに伴い生じる掛け声との関連性については身体運動と口腔器官が示す調音軌跡・距離の類似性が1要因としてあることが示唆された。