2024 年 21 巻 p. 81-94
近年,人々の多様な在り方を相互に認め合える共生社会の実現が社会的課題となっている.スポーツも例外ではなく,スポーツにおける共生は研究的にも政策的にも重要な課題となっている.本研究は大学生のスポーツにおける共生意識の実態の解明を通じて,大学生のスポーツにおける共生の促進のための課題を明らかにすることを目的とした.本研究では,大学生を対象にアンケート調査を実施し,大学生のスポーツにおける共生意識の実態を分析した.分析対象は,7,614名の大学生であった.分析の結果,以下の点が明らかになった.第一に,大学生は多様な他者とともにスポーツを行う意識と,個人のペースでスポーツを行おうとする個人主義的な意識のいずれも高かった.第二に,共生意識の実態について性差の観点から分析した結果,スポーツにおける共生意識には性差による差異がみられた.具体的には,スポーツにおける共生意識は女性のほうが高かった.第三に,スポーツにおける共生意識は組織特性によって異なることが明らかになった.大学生には多様な他者とスポーツを行おうとする意識があることが確認できた.今後,大学体育・スポーツの場を具体的な共生の場と捉えなおす必要性があることを指摘した.