大学体育スポーツ学研究
Online ISSN : 2434-7957
研究ノート
大学体育授業の楽しい思い出は健康日本21における歩数の目標値達成と関連するか?
笹井 浩行
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2024 年 21 巻 p. 73-79

詳細
抄録

健康日本21に代表される国民全体の健康づくり運動の目標達成に大学体育が果たす役割は,体育授業を通じて身体活動水準を高く保つことに加えて,生涯にわたって運動・スポーツに親しむための意識や態度を育むことであろう.本横断研究では,大学体育授業を楽しんだ思い出が,成人期以降の身体活動・運動と関連するか否かを,健康日本21による歩数目標の達成状況に着目して検証することを目的とした.東京大学体力テスト研究は,1961年~2015年に東京大学教養学部に入学した者全員に対して,体育必修授業の一環で実施した体力テスト結果169,447件と,2018年9月~11月に実施した質問紙による追跡調査5,518件(うち活動量調査1,932件)からなる大規模研究である.大学体育授業の楽しさは5項目の尺度を用いて追跡調査時に聴取した(得点範囲7~35点).男性の歩数の目標値は20~64歳で9,000歩以上,65歳以上で7,000歩以上,女性の目標値は20~64歳で8,500歩以上,65歳以上で6,000歩以上とした.データ突合が可能で,欠測のない対象者数は1,069人(男性953人,女性116人)であった.男性において,大学体育授業の楽しさ得点が25点以下を参照群とした時,歩数目標値達成のオッズ比(95%信頼区間)は,26~30点の集団で1.14(0.79, 1.63),31~35点の集団で0.95(0.66, 1.37)であり,女性では,同様に26~30点の集団で0.84(0.31, 2.26),31~35点の集団で1.27(0.43, 3.77)であった.大学体育授業の楽しい思い出と健康日本21における歩数の目標値達成について,男女ともに明確な関連はみられなかった.今後は,歩数だけでなく運動・スポーツの実践状況にも着目した解析が必要かもしれない.

著者関連情報
© 2024 全国大学体育連合

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top