2018 年 43 巻 3 号 p. 198-206
ストリゴラクトン(SL)の構造多様性を生み出す要因である,最も単純な三環ラクトンを有する5-デオキシストリゴール(5DS)とその立体異性体である4-デオキシオロバンコール(4DO)からストリゴールやソルゴモール,オロバンコールのような水酸化体への変換を検証するため,安定同位体でラベルした基質を水耕液から植物に投与し,培養液に含まれる代謝物をLC-MS/MSで分析した.ワタとレンゲは,4種の立体異性体のうち5DSのみを立体選択的にそれぞれストリゴールとソルゴモールに変換した.イネは4DOをオロバンコールに変換した.しかしオロバンコール生産植物であるカラーピーマンやアカクローバー,エンドウは4DOをオロバンコールに変換しなかった.代わりにカラーピーマンはent-4DOをソルゴモールの異性体に変換した.これらの結果より,複数の植物で4DOを介さずオロバンコールを生産することが示された.