抄録
コラーゲナーゼ法によりラット肝細胞を分離し, これを用いて重水素化メトキシクロールを代謝させた. メトキシクロールの両方のメチル基を重水素化したd6体と片方のみメチル化したd3体を調製して用いた. 後者は (R)-, (S)-, (RS)-の3種を反応に用いた. 代謝物はモノ脱メチル体と少量のジ脱メチル体であった. 反応速度およびその同位体効果を測定し, この脱メチル化反応は (1) ある程度のエナンチオ場選択性を有すること, (2) 有意に1よりも大きい重水素同位体効果を示すことを見いだした.