1989 年 14 巻 2 号 p. 189-196
既存農薬の化学構造には見られない新規な基本骨格を有する新農薬活性化合物創製の手掛かりを得る目的で, 農薬以外の用途のために合成された種々雑多な化合物のランダム・スクリーニング試験を計画し実施した. その過程で, 2-ピリミジニルヒドラゾン系化合物の一種がイネいもち病菌などに対して殺菌活性を有することを見出した. この手掛かりを農業用新殺菌剤創製に向けて発展させるべく, さらに化合物収蔵庫から近縁化合物を選別し供試するとともに, 新たに一連の関連化合物を合成し供試した. 得られた殺菌試験結果と化学構造との相関性についての考察から, 新農業用殺菌性化合物の合成指針に有用な知見を得ることができた. すなわち, 芳香族カルボニル化合物とのヒドラゾン結合周辺に立体的な込み合いが存在し, かつピリミジン環上に低級アルキル置換基が存在することが必要条件であるとの結論を得た.