Journal of Pesticide Science
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有機リン剤抵抗性ニカメイガのフェニトロオクソン解毒因子としての薬物結合性タンパク
昆野 安彦宍戸 孝
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1989 年 14 巻 3 号 p. 359-362

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抄録

有機リン剤抵抗性ニカメイガにおけるフェニトロオクソン解毒機構について in vitro で検討した. 有リン剤抵抗性 (Hata-f) および感受性 (S) 系統の各5齢幼虫より調製した酵素液と [メトキシ-14C] フェニトロオクソンとの反応から, 加水分解により生成したジメチルリン酸が水層に見いだされた. また, 水, クロロホルムに不溶で, TCAで沈殿する区分に14Cが検出され, ゲル濾過, 熱変性等からこれはフェニトロオクソンと結合している binding protein であることがわかった. 加水分解およびタンパクとの結合はともに可溶性画分で著しく高かった. Binding protein はpH依存性の加水分解と異なり, pH5.3~9.0の範囲内でフェニトロオクソンと急速に結合し, またアリエステラーゼとは異なることが示唆された. Binding 活性と加水分解活性は, Hata-f 系統がS系統にくらべてそれぞれ7倍, 9~10倍高いことから, この解毒活性の差が Hata-f 系統のフェニトロチオン抵抗性の主要因と考えられる.

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