抄録
界面活性剤を含有する各種硬水中における2種の鉱物質担体の懸垂性を調べた. カオリナイト・クレーの場合, 水の硬度が高くなるとクレー粒子のζ電位が低下して粒子同士が凝集し, 結果的に懸垂率が低くなった. ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを添加するとζ電位の増加により懸垂性は向上した. 一方ケイソウ土の場合, 界面活性剤の添加によりζ電位は高められたが, 無添加のときよりも懸垂率は低くなった. 界面活性剤の添加により, クレーの付着張力は増大したがケイソウ土のそれは減少した. このことから界面活性剤の存在はケイソウ土の界面エネルギーを増加させて凝集を引き起こすことが示唆された. ケイソウ土とクレーの付着張力に対する界面活性剤の影響の違いは, 両者の表面の親水性の差異によるものと考えられた.