抄録
1-ベンゾイル-3-フェニル尿素型化合物は, 昆虫が脱皮する際に新たに形成されるクチクラ層の正常な形成を阻害することによって, 昆虫を死に至らしめる新しいタイプの殺虫性化合物として知られ, これまで多くの農薬企業によって構造修飾が行なわれてきた. 筆者らはこの型の化合物のアニリン部分の4位の置換基Zに着目し, Zとしてポリフルオロアルキルオキシ, あるいは相当するチオ基を有するものが高い殺虫活性を有するグループを形成していると考え, この位置に1, 1, 2, 2-テトラフルオロエチルチオ基および2-クロロ-1, 1, 2-トリフルオロエチルチオ基を有するもの4, およびこれらに対応するスルホニル体2, およびスルフィニル体3を合成し, これら新規なベンゾイルフェニル尿素型化合物の鱗翅目昆虫に対する殺幼虫活性を調べた. 4は予想どおり高い効果を有していたが, 2および3の中にも対応する4に匹敵する殺虫活性を有するものがいくつか見い出された. 合成した化合物のアニリン部分の置換様式と殺虫効果の関係から, 4位の置換基のほか2位にフッ素, 塩素, メチル基などの適当な置換基を有することが, 高活性の発現に大きく寄与していることが判明した.